栄養が豊富で美味しい【さつまいもの芋づる】を食べよう!

「戦中・戦後の食べ物」というイメージを持たれがちな芋づる(サツマイモのつる)。

捨ててしまうのはもったいない。
実は、サツマイモの葉や葉柄は、昔から各地で食べられてきた野菜でもあります。

近年では、サツマイモの茎葉に含まれるビタミンやミネラル、ポリフェノールなどの成分にも注目が集まり、食材としての活用も研究されています。

みなさんは、さつまいもを掘ったことはありますか?

「芋づる式」に次々と美味しそうなさつまいもが現れる様子は、とても心地がよいものです。
土の中に眠っていたさつまいもは、掘り起こした直後はとても瑞々しく美しい紫色をしています。

ところで、さつまいもを掘った経験のある方、芋づるはどうしていましたか?

芋づるの部分を持ち帰らずにいることは、多いのではないでしょうか。

実はさつまいもの芋づるは、少し手をかけるだけで美味しい料理になります。

今年は芋づるの美味しさを初めて知って3年目。また芋づるを美味しく調理することができました。
あまりにも美味しいので毎年の恒例行事になりそうです。

さつまいもの芋づるとは?

一般に「芋づる」「いもの茎」などと呼ばれていますが、料理でよく食べられているのは、葉と茎をつなぐ細長い「葉柄(ようへい)」の部分です。

サツマイモは地上に長くつるを伸ばし、たくさんの葉をつけます。
その中でも、若く柔らかな葉や葉柄は食用にすることができます。

さつまいもの芋づる
芋づる(可食部)は、葉と太い茎をつなぐ「葉柄(ようへい)」といわれる細長い部分


芋づるの下処理


さつまいもの芋づるの皮を手でむいて、水につけた後軽く茹でておきます。
その後炒めものや煮びたし、和え物などにして楽しむことができます。素朴ですが滋味深い、美味しい一品に仕上がりますよ。

【あく抜き①】芋づるは、皮を剥いて4cm程度の大きさに切り、30分程度水に浸ける。

【あく抜き②】水につけた後、湯に塩を入れて2~3分湯がく。


実は栄養面でも注目される、サツマイモの芋づる

私たちが普段食べているのは地中にできるサツマイモですが、地上に伸びる葉や葉柄にも、さまざまな栄養成分が含まれています。

農研機構が開発した茎葉利用品種「すいおう」の葉には、ビタミンC・E・K、鉄、カルシウム、ポリフェノール、ルテイン、β-カロテンなどが含まれることが紹介されています。

その種類や含有量は、品種や栽培条件、収穫時期、葉・葉柄などの部位によっても異なります。
近年では、普段は捨てられてしまうことも多いサツマイモの茎葉を、食品資源として活用する研究も進められています。

ポリフェノールなどの成分も

サツマイモの葉や葉柄には、クロロゲン酸などのポリフェノール類が含まれることも報告されています。

普段は芋を収穫したあとに残されることも多い茎葉ですが、実は地上部にもさまざまな成分が含まれています。

「芋だけでなく、葉や葉柄まで食べる」。

野菜をできるだけ無駄なく、おいしくいただくという意味でも興味深い食材です。


食物繊維やミネラルも毎日の食事に


サツマイモの茎葉には、食物繊維やカルシウムなどのミネラルも含まれています。

特定の食材だけで健康になるわけではありませんが、さまざまな野菜を日々の食事に取り入れることは、バランスのよい食生活の基本です。

いつもは捨ててしまうこともある部分を、おいしい一品として食卓に取り入れられるのはうれしいですね!


さつまいもの芋づるを使った郷土料理

さつまいもの芋づるは、昔から各地で食材として活用されてきました。

農林水産省の「うちの郷土料理」によれば、高知県では、さつまいもやかぼちゃの葉柄を食べる文化があります。

高知県は高温多湿で、夏になるとサツマイモなどの茎葉が旺盛に育ちます。
農家がその茎を食用にしたことから、暮らしの知恵として広がっていったといわれています。

現在でも「いもの茎」は日常的に食べられ、スーパーマーケットや直売所では下ゆでされたものが販売されることもあるそうです。

炒め煮のほか、煮びたしや白和えなどにも使われています。

昔、さつまいもの芋づるを使った料理を実家で食べていた、という友人が何人かいました。
今では入手できないので作ることはないそうですが、懐かしい家庭の味だそうです。

シャキシャキとした独特の食感があり、味もよく染み込むので、ごはんのお供にもぴったりです。

芋づるをおいしく食べる調理法

芋づるは、油を使った炒め物やきんぴら、炒め煮などによく合います。

ごま油を最後に回しかければ、香ばしさも加わります。
油揚げや豚肉など、ほかの食材と組み合わせれば、食べ応えのある一品にも。

芋づるそのもののシャキシャキとした食感を楽しんでみてください。


さつまいもの芋づるが手に入る時期

芋掘りの時期になると、サツマイモと一緒に芋づるを目にする機会が増えてきます。

一方、茎葉を食用にする品種では、夏から秋にかけて若い葉や葉柄を繰り返し収穫することもできます。

農研機構の茎葉利用品種「すいおう」では、初夏から秋まで収穫でき、先端の若く柔らかな部分が食用に適しているとされています。

地域や品種、栽培方法によって収穫時期は異なりますが、直売所などで新鮮な芋づるを見つけたら、ぜひ一度味わってみてください。


2023年11月上旬。今年も芋づるのきんぴらを作りました。濃いめの味付けにすれば、常備菜としても楽しめます。

2023年11月上旬。今年も芋づるのきんぴらを作りました。

濃いめの味付けにすれば保存食にも。佃煮風になります。

芋づるのきんぴらの作り方


新米のお供 芋づるの炒め煮の作り方(皮剥き、アクの取り方も掲載)


新鮮なさつまいもの芋づるの選び方

芋づるを選ぶときは、みずみずしく張りがあり、変色や傷みが少ないものを選びましょう。
時間が経つと水分が抜けてしんなりし、葉柄も硬くなってきます。
特に若く柔らかな葉柄は調理しやすく、シャキシャキとした食感を楽しめます。

畑で収穫する場合も、伸びすぎて硬くなる前の柔らかな部分を選ぶとよいでしょう。

さつまいもの芋づるの保存方法

芋づるは、収穫後できるだけ早く調理するのがおすすめです。

すぐに使わない場合は、乾燥しないように包んで冷蔵庫で保存し、なるべく早めに使い切りましょう。

たくさん手に入ったときは、下処理をしてから料理に活用すると便利です。

まとめ:芋だけではもったいない。さつまいもの芋づるも、味わおう


私たちが「さつまいも」と聞いて思い浮かべるのは、土の中で育ったお芋。

でも、その上には長いつるが伸び、たくさんの葉と葉柄が育っています。

その葉や葉柄も、昔から人々が工夫して食べてきた大切な食材です。

炒めればシャキシャキとした食感があり、煮れば味がよく染みる。さらに、葉や葉柄にはさまざまな栄養成分が含まれることもわかっています。

畑で育ったものを、できるだけ無駄なく、おいしくいただく。

そんな昔からの暮らしの知恵を、今の食卓でも楽しんでみてはいかがでしょうか。

「私の地域ではこうやって食べていたよ!」という芋づる料理があれば、ぜひコメント欄で教えてくださいね。

<参考文献>

  1. 根岸由紀子「サツマイモ茎葉の食材利用方法と料理」『いも類振興情報』109号、2011年
  2. 須田郁夫「サツマイモ茎葉利用の現状と課題」『いも類振興情報』109号、2011年
  3. 大嶋保夫「葉柄食用サツマイモ『エレガントサマー』の生育収量と品質」神奈川県農業総合研究所研究報告 第138号、1998年、15–20頁
  4. 農林水産省「うちの郷土料理 いもの茎の炒め煮 高知県」
  5. 農研機構 九州沖縄農業研究センター「茎葉利用サツマイモ『すいおう』」関連資料

山口かをる(畑料理研究家)
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