【ネギの一生】ネギ坊は食べられないの?種から成長してネギ坊主ができるまで~


ネギは、特有の辛みと風味をもち、薬味に利用されると共に、様々な料理に使われている身近な野菜です。
けれども、その成長過程やネギ坊主の誕生についてご存知の方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、世田谷等々力鈴木農園さんのご協力を得て、ネギの成長過程を詳しくご紹介します。種から始まり、美しいネギに成長し、最終的にネギ坊主ができて、種が取れるまでの過程を見ていきましょう。

青ネギと白ネギの違い、ご存知ですか?

青ネギ(葉ネギ)とは


青ネギ(葉ネギ)は、葉身と葉鞘と呼ばれるネギの青い部分を食べるもので、主に関西以西で普及しています。
ネギの根の部分が成長につれて土をかぶせずに育てるため、青い部分が長くなります。白ネギよりも葉ネギの方が、βカロテン、B民んCやカルシウムなどのミネラルの含有量を多く含むとされています。

白ネギ(根深ネギ、長ネギ)とは

白ネギ(根深ネギ・長ネギ)は、主に関東以北で栽培されており、根の部分が伸びるにつれて土をかぶせて栽培するため、白い部分が長くなります。

ネギにはアリシンという独特の成分による刺激臭がありますが、このアリシンは、ビタミンB1と協力して糖質をエネルギーに変え、疲労回復を助ける効果が期待できます。
また、殺菌作用、抗酸化作用、血液サラサラ効果なども知られています。風邪予防にも良いですね。

ネギの栽培歴(スケジュール)

根深ネギは、3~5月に種をまいて冬に収穫をする、春まきが多く、栽培期間が比較的長いです。白い部分を増やすために植替えが必要なため、手がかかる野菜でもあります。
一方で葉ネギは栽培期間が短く、育てやすいと言われています。

サカタのタネ 園芸通信より

ネギの成長過程を知ろう

さて、それではネギの種から生育して美味しくいただけるようになるまで、育てる過程を見てみましょう。
ネギの成長過程を知ることで、より一層選び方や食べごろのポイントを理解することができるようになると思います。
ここでは、白ネギの成長過程を5つのステップに分けてご紹介します。

①種から始まる

枯れたネギ坊主(花)からネギの種を採取する

ネギの種は、ネギ坊主から採取します。ネギが成長して食べごろになるとネギ坊主ができるようになります。


種まきの方法については、直接土にまく場合と苗ポットに土を入れ種を入れて、苗まで育ててから土に植える方法があります。
少量であれば苗ポットが生育しやすいですが、畑で大量に作る場合は種まきをします。


②種まき

土に種をまくために15cm程度の溝をつけ、1〜2cm間隔で直線状に列を作るようにまきます。軽く覆土して鎮圧し、たっぷりと水をやります。



発芽後、葉が密着しているところは、3㎝間隔になるように生育のよい苗を残して間引きをします。
また、小さなネギの周りには雑草が生えてきますので、それらに栄養を奪われないように丁寧に抜いていきます。

まだ小さなネギを傷つけないように丁寧に雑草を取ります。

③苗の植え替え

苗の長さが30〜40cm位に成長し、太さが1cmくらいになったら、白ネギをつくるために別に用意した畑へ植え替えを行います。
ネギの白い部分が長くなるように、土を30㎝くらい掘って溝を作り、そこに苗を置いていきます。土が流れてしまわないように、移植の日に掘る様にします。溝を掘る作業をスコップで行うのは、本当に大変な作業です。

ネギは過湿に弱いので、水はけのいい場所を選びます。

溝にワラを敷くことで適度な水分を維持します。また、通気が良くなることで病害虫を防ぐ効果もあります。

全員元気に育って~

掘りだした土をネギの根の方からかけていきます。これを「土寄せ」と言います。

④白く美しいねぎの成長


ネギの生育状況に合わせて土寄せをしてていくことで、葉鞘部が白く長くなり美しい白ネギの仕上がりにつながります。土寄せは約1か月ごとに4回行い、追肥します。

ネギが元気に育ってきました。


ネギの収穫

最後の土寄せから1か月後が収穫の目安です。

無事に立派に育っています。


お店に並んだネギ

こんなに手をかけて育てたネギが3本200円しないなんて、安すぎる💦

⑤ネギ坊主の誕生

ネギが成長し、収穫のタイミングが迫ってくるあたりに登場するのが、ネギ坊主です。
ネギ坊主は一体なんだかご存知ですか?

実は、ネギ坊主の正体は、ネギの花です。
花をかせるためにのびた茎を「とう」と言いますが、(「とうがたつ」という表現がありますね)。
とうが伸びて花が咲くと、花に栄養がいってしまうので、野菜のうま味が落ちたり固くなってしまいますので、ネギ坊主ができる前に収穫をしてしまうのが望ましいです。

4月。ネギ坊主がたくさん誕生。

ネギの花の集まり

枯れたネギ坊主。このあと種を採取する。

ネギ坊主の活用方法


ネギ坊主は、あまり知られていませんが、料理に使え、美味しくいただくことができます。
完全に開花すると固くなってしまうので、開花前の蕾(つぼみ)の状態がやわらかく食感が良いです。
玉ネギのような香りがありますが、食感は異なりますのでぜひ楽しんでいただきたいです。
油との相性が良いように思います。オリーブオイルで炒めたり、軽く焼いてサラダに混ぜてドレッシングをかけたりすると美味しいです。天ぷらやペペロンチーノにもぴったりです!

ネギ坊主を切ると中身はこんな感じ

ネギ坊主を焼くと香ばしくなって美味しい。

ネギ坊主は、サラダに入れても美味しい

ネギ坊主と山菜のサクッと揚げ。卵をいれずに粉とお水だけ振って揚げたもの。衣が軽くサクサクで美味しい。

ネギの青い部分で作るグラタン。風邪対策に。


ネギは、根元を残せば再生栽培でまた食べられる!



以上が、ネギの成長過程とネギ坊主の誕生までについて、ネギの一生のお話です。
ネギはいろいろな料理に使える上に、再生栽培も可能なので薬味などに少し使いたい時に便利で経済的ですね。
ネギの美しい成長を思い浮かべながら、ネギを美味しく召し上がってください。


管理栄養士MINORIがネギについて詳しく解説

ネギの歴史から日本の食卓にのぼるまで、栄養価や保存法、調理法などを詳しくお伝えします。
これがわかればあなたもネギ博士!

山口かをる(畑料理研究家)

山口かをる(畑料理研究家)スパイシーなお料理はおまかせください

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