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『世界を旅した野菜たち』
~種と文化がつないだ命の物語~
唐辛子ロード①
7000年前、メキシコで生まれた小さな実。
その種は鳥に運ばれ、
人に育てられ、
海を渡り、
やがて世界中の食卓へ旅を続けることになります。

四季を通じて、スーパーに並ぶピーマン。
肉詰めや青椒肉絲、炒め物の彩りとして、すっかり日本の食卓に欠かせない野菜になっています。
でも、
「ピーマンの祖先は何ですか?」
と聞かれたら何と答えますか?

実は、ピーマンも、パプリカも、ししとうも、万願寺とうがらしも、そしてハバネロやハラペーニョも、、、
みんな同じトウガラシ属(Capsicum)の仲間です。
英語では、ピーマンも唐辛子もまとめて pepper と呼ばれています。
こんなに色も味も違うのに、同じ名前で呼ばれているなんて不思議ですよね。
🌶辛くない唐辛子がある?

野生のトウガラシの多くは、辛味を持っています。
辛さの正体は、カプサイシンという成分。
これは、植物が種を守るために身につけた知恵だと考えられています。
ところが長い年月のなかで、偶然、辛味の少ない個体が現れました。
そして人々は、
「辛くない方が食べやすい」
「大きく肉厚の方がおいしい」
と考え、辛味のないものを選ぶようになりました。
こうして誕生したのが、現在のピーマンやパプリカです。
特に現在の「ベルペッパー」は、アメリカで盛んに品種改良され、肉厚で大きく、辛味のない野菜として発展しました。
つまり、
ピーマンは「辛くない唐辛子」の仲間なのです。

🌶赤ピーマンはなぜ辛くないの?
緑色のピーマンを収穫せずにそのまま育てると、やがて赤く色づきます。
赤ピーマンは甘みが増し、β-カロテンなどの栄養も豊富になります。
でも、赤くなっても辛くはなりません。
それは、ピーマンがもともとカプサイシンをほとんど作らない性質を持っているからです。
色と辛さは別の仕組み。
赤くなったからといって、唐辛子のような辛味が現れるわけではないのです。

🌶どうしてピーマンも唐辛子も「pepper」なの?
ここで、もう一つの不思議。
英語では、
- Bell pepper(ピーマン)
- Chili pepper(唐辛子)
と呼ばれます。
実はこの「pepper」という名前は、大航海時代の勘違いから生まれました。
1492年、コロンブスは黒コショウを求めて航海に出ました。

そしてアメリカ大陸で出会った辛い実を、
「新しいコショウだ!」
と思い込んだのです。

本物のコショウとは別の植物だったにもかかわらず、その名前だけが残りました。
だから現在でも、ピーマンも唐辛子も、英語では「pepper」なのです。
🌶7000年前のメキシコにつながる仲間たち
ピーマン。
パプリカ。
ししとう。
万願寺とうがらし。
神楽南蛮。
ハラペーニョ。
ハバネロ。

姿も辛さも違いますが、遠い祖先をたどれば、みんな7000年前のメキシコで栽培され始めた小さなトウガラシにつながっています。
私たちが食べているピーマンは、
長い長い「唐辛子ロード」を旅してきた仲間の一人だったのです。
🌶【予告】 第2話 7000年前、メキシコで生まれた小さな赤い実
トウガラシは、いつ、どこで生まれたのでしょう。
そして、なぜ人類は、その刺激的な辛さに魅了されたのでしょうか。
7000年の旅は、古代メキシコから始まります。
次回も、日曜日の午前中にお目にかかりましょう。