「ナガミヒナゲシ」は4月~6月にオレンジ色の花を咲かせるケシ科の植物で、観賞用のポピーのような一見かわいいお花が咲きます。
地中海地方原産の外来種で、日本では1961年に東京都世田谷でみつかりました。最近では、車のタイヤなどで運ばれて各地に広がり、空き地や道端でも見かけるようになりました。
ナガミヒナゲシは繁殖力が非常に強いため、在来の植物の生育場所を奪うなどの影響を与える可能性があるといわれています。
現在、国の駆除対象となる「特定外来生物」や「生態系被害防止外来種」ではありませんが、各自治体では駆除を推奨しています。
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ナガミヒナゲシの毒性
ナガミヒナゲシはアルカロイド性の有害物質を含んでいて、素手で触るとかぶれることがあります。これは、害虫や動物から身を守るために持つ毒ですので、ナガミヒナゲシに触るときには必ず手袋をしましょう。
また、ナガミヒナゲシは他の植物の生長を阻害するアレロパシー活性が強いことも知られています。
畑や花壇にとっては悪影響を与えかねないので徹底的に駆除していきたいです。
畑(世田谷等々力鈴木農園さん)の奥をお借りして、わたしが育てているホーリーバジルの畝にも、いつのまにかたくさん生えていました!
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ナガミヒナゲシの駆除
ナガミヒナゲシは、12~2月頃、まだ寒い季節に発芽します。
芽が出てしばらくのうちは、高くならず放射状に這って生育する「ロゼット植物」のため、土にへばりつく感じで生えています。
そして、春になると蓄えた栄養分で勢いよく茎を伸ばして目立つ高さまで成長し、風や昆虫の力を借りて受粉をして花を咲かせ、遠くまで種を飛ばします。
まだ土にへばりついている段階では、比較的抜きやすいケースが多いです。
この頃にナガミヒナゲシを見かけたら、徹底的に駆除することが望ましいです。なぜなら、ナガミヒナゲシの種子は、未熟な状態でも発芽力があり、花が咲いてしまってからの刈り取りはかえって拡散させてしまう可能性があるからです。
ナガミヒナゲシは、茎が伸びる前まだ寒い季節のうちに駆除しましょう!
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ロゼッタ上に広がって成長するナガミヒナゲシ。2月17日 この形を見たらとにかく駆除!
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ナガミヒナゲシの花が咲いてしまったら
種が飛ばないよう十分注意して、ごみの袋に入れて自治体の指定の収集日に出します。
前述したとおり未熟な種からでも発芽するということなので、種が土にこぼれ落ちないように注意して根から抜くと共に、茎や花を揺らさずに慎重に運びます。
ナガミヒナゲシの根には毒性成分が含まれているので、必ず手袋をして行います。
畑では、雑草取りの人員不足のためナガミヒナゲシが増えてしまったので、今回は穴の中に捨てて上から他の雑草(写真は麦)をかぶせておきました。

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ナガミヒナゲシの繁殖力
ナガミヒナゲシの1株には、約100個の実ができます。1個の実には1,000個以上の種が入っていて、1株から10万を超える種ができる計算になります。
4~5月に花を咲かせたナガミヒナゲシは、6月頃には、実が成熟して中から黒く小さな種直径0.6㎜程度の種がこぼれます。いわゆる「けし粒」のサイズです。これらが風で揺られるだけでこぼれ落ちて飛んでいくようなので、驚異の繁殖力があるというのもうなずけます。
未熟な状態の種も、後から熟して環境が整えば発芽するようですので、取扱いには気を付けたいものです。
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ナガミヒナゲシの実
ナガミヒナゲシの英名は「Long-headed popy」
実が長いのでこのように命名され、日本語訳も「ナガミヒナゲシ」となりました。
うそでしょ!自宅のベランダでナガミヒナゲシを発見!!
2024年4月21日追記。
昨日、ベランダのポットに他の雑草に交じって若い春菊のような葉っぱを見かけました。
春菊のような見かけない葉の形でしたが、気にしていませんでした。
しかし!今日何気なく見てみたら、なんとナガミヒナゲシの花が咲いているではありませんか‼
たった1日で、こんなに早く成長するなんて。よりによって我が家の2階のベランダに花を咲かせるなんて!
本記事では、「見つけたら早く駆除しましょう」と書いておきながら自分で見つけられなかったという情けなさ…
このショックは、何かと似ている。
そう、Gをその年に初めて見かけた時と同じ感覚です。Gの活動開始時期も4~5月で、ちょうど同じくらいか。
ナガミヒナゲシ、恐るべし…
これからは、他の雑草も含めて花を咲かせる前に根元から引き抜いておくことを心に誓いました。
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自宅のベランダで、1日にして花を咲かせたナガミヒナゲシ 20240421
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美味しいロゼット植物~ちぢみほうれん草
ロゼット植物は、悪い影響を与える植物ばかりではありません。
葉を放射状に広げることで光が当たる面積を増やし、太陽の光が少ない(短い)真冬でも光合成を効率よく行って成長しています。
今が旬のほうれん草の仲間にもロゼット状のものがあります。
茎の部分が甘くて、お鍋に入れてポン酢でいただくと本当に美味しいです。
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詳しくは、【冬野菜物語】ホウレンソウをご覧くださいね。
管理栄養士MINORI が、ホウレンソウの栄養価や歴史、保存法などを紹介しています。
いかがでしたか?
冬の光が少ない間、土に放射線状に葉を広げ、光合成で成長するロゼット植物。
雑草のロゼット植物は、茎が伸びる前の段階で駆除していきましょう。ナガミヒナゲシのロゼット状の写真が参考になれば幸いです。