サルサの思い出【あこがれの味を再現】

代官山のメキシコ料理

40年ほど前のこと。

まだ代官山エリアが静かな住宅街だった頃に、ヒルサイドテラスと言うとてもオシャレな低層集合住宅がありました。

その建物の旧山手通りを挟んだ向かい側に、見たこともないメキシコ料理のお店を発見し、大学生だった僕たちはおそるおそるそのお店に入っていきました。

メキシコ料理とは何か、どういったメニューがあってその料理の内容が何かも、全く知らなかったのですが

「トルティーヤって何?」

「ワカモレって何?」

「タコスって何?どうやって食べるの?」

と、お店の人に片っ端から子供のように聞きまくっていました。

どの1品も当時の僕たちにとっては決して気軽にオーダーできる値段ではなかったので、財布の中身と相談しながら慎重に選びました。

そして、トルティーヤチップスにつけて食べた、サルサとワカモレと、牛肉や鶏肉を挟みその上にサルサやワカモレを乗せて食べた初めてのタコスは、まさに未知との遭遇で、これまで味わったことのない美味しさに驚くばかりでした。

何度もおかわりしたいほど美味しい本場の味

代官山はクルマですぐ近くだったので、「またあのメキシコ料理屋さんに行こう❗」ということになるのですが、学生だった僕たちは頻繁には行けず、行っても満腹になるほどタコスを食べることはできませんでした。

「いつかは他のメニューも、そしてタコスを追加注文してお腹いっぱい食べたい」

そう思いながら帰ってくるばかりでした。

ある日、早い時間だったのか店内はわりと空いていて、オーナーシェフの方が厨房から出てこられました。

僕は思いきって

「サルサとアボカドのワカモレの作り方をどうしても教えて欲しい。お腹いっぱいになるまで食べたいんだけれど、残念ながらまだお店では食べられないから家で作って食べたいんだ」

と強くお願いしました。

そしてついに「全くしょうがないなぁ」と言われながら、そのレシピを教えてもらうことに成功しました。

気難しそうなオーナーが教えてくれた作り方

サルサの材料は手に入れることができたのですが、ワカモレの主役であるアボカドが当時はまだ身近ではなくて、広尾のナショナルマーケットか青山の紀伊国屋に買いに行って、一生懸命作ったものです。

アボカドを熟成させないといけないことも知らず、とにかく硬くてワカモレにならずに、今では考えられないほど高価だったアボカドを無駄にしたこともありました。

わからないことが出てくると、そのオーナーシェフに教えを乞いに代官山へ向かいました。

そんな思い出の詰まったレシピが、このサルサとワカモレとタコスです。

【たっぷり食べたい】サルサとワカモレ

ちなみに、タコス用のトルティーヤが手に入らなくて、代官山のそのお店でトルティーヤだけを数枚売ってもらったりしたこともありました。

この、日本の先駆的メキシコ料理のお店も、今年(2021年)の1月末で閉店してしまったそうです。


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