スーパーや八百屋で、一年中見かけるブロッコリー。
私たちが食べている緑色の部分は、じつは花が咲く前のつぼみです。
小さなつぼみがぎっしり集まった部分を「花蕾(からい)」といいます。
では、収穫せずにそのまま育てたら、どうなるのでしょう。
やがてつぼみが開き、黄色い花が咲きます。
その花が終わると、種ができます。
一粒の種から芽を出し、葉を広げ、つぼみをつけ、花を咲かせ、また種へ。
今回は、いつも食べているブロッコリーが畑でどんな一生を送るのか、追いかけてみましょう。

ブロッコリー、食べているのは花?蕾(つぼみ)?
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1. ブロッコリーの一生を見てみよう
いつも食べているブロッコリーは、畑でどのように育っているのでしょう。
その始まりは、小さな一粒の種です。
種をまき、苗を育てる
種をまくと、やがて小さな芽が顔を出します。
最初に開くのは「子葉(しよう)」と呼ばれる葉。その間から本葉が出て、少しずつ大きな葉を広げていきます。
本葉が5〜6枚ほどに育ったころ、苗を畑へ植え付けます。

葉の中心に、小さなつぼみができる
畑で葉を大きく広げながら成長すると、株の中心に小さなつぼみが集まり始めます。
これが「花蕾(からい)」です。
葉に包まれるようにして育ち、やがて私たちがよく知る、こんもりとしたブロッコリーの姿になります。

花が咲く前に収穫する
つぼみが固く締まり、十分に大きくなったところで収穫します。
つまり、私たちが普段食べているブロッコリーは、花が咲く直前の姿です。
中心の大きな花蕾を収穫したあと、わき芽から小さな「側花蕾(そくからい)」が育ち、再び収穫できる品種もあります。

収穫しなかったら、どうなる?
そのまま畑に残しておくと、固く閉じていたつぼみが少しずつ開き、黄色い花を咲かせます。

スーパーに並ぶブロッコリーからは、少し想像しにくい姿かもしれません。
花が終わると莢(さや)ができ、その中で次の種が育ちます。
種 → 芽 → 葉 → 花蕾 → 花 → 種。
私たちが食べているブロッコリーは、その一生の途中なのです。
2. 花が咲いたブロッコリーは食べられる?
家庭菜園などで、収穫のタイミングを逃して黄色い花が咲いてしまったブロッコリー。
「もう食べられないの?」と思うかもしれません。
花が咲き始めたからといって、すぐに食べられなくなるわけではありません。
ただし、私たちが普段食べているブロッコリーは、つぼみが固く締まった時期に収穫したもの。
開花が進むにつれて花蕾はゆるみ、食感や風味も変わっていきます。
個人的には、パサパサした食感になり、味わいにも変化を感じます。
黄色い花が見え始めたら、ブロッコリーが次の段階へ進み始めたサインです。
黄色い花もブロッコリー
ブロッコリーは、キャベツや菜の花と同じアブラナ科の植物です。
咲いた花をよく見ると、黄色い4枚の花びらが十字形に並ぶ、アブラナ科らしい姿をしています。
いつも食べている緑色のつぼみと黄色い花。
姿はずいぶん違いますが、同じブロッコリーの一生の中にある姿なのです。
3. 花蕾だけじゃない。茎や葉もいただく
スーパーでは花蕾が主役ですが、ブロッコリーは太い茎も食べられます。
外側のかたい皮を厚めにむくと、中はやわらかく、ほんのり甘みがあります。薄く切って炒めたり、きんぴらにしたり、やわらかく煮てポタージュにするのもおすすめです。
収穫のために切り落とされる葉も、やわらかいものは料理に使うことができます。
花が咲く前のつぼみをいただき、茎や葉も無駄にしない。
畑から届いたブロッコリーを眺めてみると、いつもの一株にも、まだ食べられるところが残っていることに気づきます。
4. みんな親戚? ブロッコリーの仲間たち
ブロッコリーには、姿のよく似たカリフラワーやロマネスコだけでなく、意外な仲間がいます。
キャベツ、ケール、コールラビ。
見た目も、食べる部分もずいぶん違いますが、これらは同じ祖先をもつ、とても近い仲間です。
長い栽培の歴史の中で、人は葉のおいしいもの、茎が太くなるもの、つぼみが大きく育つものなど、それぞれの特徴を選び、育ててきました。
その結果、同じ仲間から、これほど違う野菜が生まれました。
カリフラワーとロマネスコ
ブロッコリーによく似ているのが、カリフラワーです。
どちらも主に花蕾を食べますが、ブロッコリーでは一つひとつのつぼみが見えるのに対し、カリフラワーはつぼみが十分に分化する前の、ぎゅっと詰まった花蕾を食べています。
ロマネスコも、この仲間のひとつ。
渦巻きが繰り返されるような不思議な形をしていますが、これも私たちが食べているのは花蕾です。
茎を楽しむ、スティックセニョール
細長い茎と小さな花蕾を一緒に食べるスティックセニョールは、ブロッコリーと中国野菜の芥藍(かいらん)をもとに育成された野菜です。
アレッタは何の仲間?
最近、スーパーや直売所で「アレッタ」という名前の野菜を見かけることがあります。
一見すると、茎ブロッコリーや菜の花のようにも見えますが、アレッタはブロッコリーとケールをもとに育成された野菜です。
花蕾だけでなく、茎や葉も食べられるのが特徴。
知らない野菜に見えても、その姿をよく見ると、ブロッコリーやケールとのつながりが見えてきます。
同じ「ブロッコリーの仲間」でも、人がどの部分のおいしさに注目するかによって、姿も食べ方も変わっていきます。
葉を食べる。茎を食べる。つぼみを食べる。
野菜売り場でまったく違う野菜に見えていたものも、植物として眺めてみると、意外なところでつながっているんですね。
| 仲間たち | 特徴 |
カリフラワー![]() | ブロッコリーと同じアブラナ科の近い仲間。白く密集した花蕾を食べます。 |
ロマネスコ![]() | カリフラワーの仲間。渦巻きが繰り返されるような幾何学的な形の花蕾が特徴です。 |
スティックセニョール![]() | 茎ブロッコリーの一種。細長く伸びた茎と、その先につく小さな花蕾を一緒に食べます。 |
ケール![]() | ブロッコリーやキャベツと同じ Brassica oleracea の仲間。結球せず、大きく育った葉を食べます。 |
キャベツ![]() | ブロッコリーと同じ Brassica oleracea の仲間。こちらは花蕾ではなく、重なり合って結球した葉を食べます。 |
アレッタ![]() | ブロッコリーとケールをもとに育成された野菜。花蕾だけでなく、茎や葉も食べられます。 |
5. ブロッコリーには、どんな栄養がある?
花が咲く前のつぼみを、私たちは野菜としていただいています。
ブロッコリーには、ビタミンC、葉酸、食物繊維、β-カロテン、ビタミンKなど、さまざまな栄養素が含まれています。
なかでもビタミンCは、生のブロッコリー100gあたり140mg。食物繊維は5.1g、葉酸は220μg含まれています。
調理すると栄養はどう変わる?
日本では、ブロッコリーは加熱して食べるのが一般的です。
ブロッコリーは、調理方法によって栄養成分の値が変わります。
食品成分表では、ビタミンCは生100gあたり140mg、ゆでたものでは55mg、電子レンジ調理では140mgとなっています。なお、これらはそれぞれ100gあたりの成分値で、調理前後の残存率を示すものではありません。
ビタミンCは水に溶けやすいため、ゆでると一部がゆで汁へ移ります。蒸す、電子レンジで加熱する、スープにして汁ごといただくなど、調理法によって摂り方も変わります。
栄養を逃さないことだけにこだわるのではなく、蒸す、焼く、炒める、スープにするなど、料理に合わせておいしく食べることも大切です。
スルフォラファンって?
ブロッコリーについて調べると、「スルフォラファン」という名前を目にすることがあります。
アブラナ科の植物に含まれる成分から生成される物質で、ブロッコリースプラウトなどを使った研究も行われています。
その働きや疾病との関係については、研究内容と実際にブロッコリーを食べることを分けて考える必要があります。
スルフォラファンやブロッコリーの栄養については、別の記事で詳しくご紹介します。
6. ブロッコリーを丸ごと、おいしく
ブロッコリーは、花蕾だけでなく茎までおいしく食べられます。
太い茎は、かたい外側の皮を厚めにむくと、中はやわらかく、ほんのり甘みがあります。
炒めものやきんぴら、スープやポタージュに。
花蕾は蒸したり、焼いたり、パスタやサラダに加えたり。
一株のブロッコリーも、調理法を変えるとさまざまな料理に使えます。
ブロッコリーの仲間たちのおすすめレシピ
まとめ
スーパーでいつも見ているブロッコリー。
私たちが食べているのは、花が咲く前の小さなつぼみの集まりでした。
種から芽を出し、大きな葉を広げ、花蕾をつける。
収穫されなければ黄色い花を咲かせ、やがて次の種を残します。
そう考えると、いつものブロッコリーも少し違って見えてきます。
花蕾を食べ、茎もいただく。
野菜の一生を知ることは、畑から届いたものを、できるだけ大切にいただくことにもつながります。
ブロッコリーをもっと知りたい方へ
ブロッコリーの歴史、生産地、栄養、保存法や調理法については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
参考文献・引用元
[1] 文部科学省「食品成分データベース」野菜類/ブロッコリー/花序/生・ゆで・電子レンジ調理(日本食品標準成分表〈八訂〉増補2023年)
[2] 農林水産省「登録品種データベース」アレッタ(登録番号20556)
[3] サカタのタネ「スティックセニョール」
同じアブラナ科のルッコラの栄養パワーの記事はこちら






